産婦人科の診療のなかで、子宮内膜症に関係するものは最も難しいものの1つです。
その最大の理由として、この病因の解明が未だ充分とはいえず、ほとんどが学説の領域のまま今日にいたつているからです。しかし、日常診療においては、生理 痛を訴える患者さん非常に多く、その原因の解明がないまま、対症的に強い鎮痛剤を処方したり、注射で無月経にする例が少なくありません。また、子宮内膜症 の発症が、ホルモン依存症であるという考えにより、異所性に増殖した内膜組織の非活性化を目的としたホルモン療法が主流となつています。子宮内膜症への対 応という点では、疼痛対策と不妊治療という、全く別な目的が臨床上問題となります。疼痛対策としては、鎮痛剤の応用から手術療法まで可能であるが、子宮内 膜症が原因と思われる不妊症に対しては、薬物療法はほとんど期待できなく、腹腔鏡下の卵管周辺の癒着剥離が唯一の妊娠が期待できる術式と考えられていま す。不妊症患者さんにまず腹腔鏡で手術を行い、6か月経過をみて妊娠しなければ、高度生殖医療に移行するとされています。また最近の知見として40歳以上の子宮内膜症性卵巣のう胞の数%に悪性病変が認めることがあります。昨今では40歳以上の不妊患者は増加しており、この中には、子宮内膜症性卵巣のう胞の中に悪性腫瘍の存在も意識しなければなりません。卵巣予備能を気にするあまり保存療法に傾倒すると患者の生命予後を不良にしてしまう懸念もあります。
未婚あるいは当面は挙児希望がない方(しかしいずれ妊娠を希望したい方)に手術を行ない、術後無加療で経過観察して いると、高率に子宮内膜症の再 発・再燃を起こします。こうして再発した場合は卵巣機能の低下を起こし、難治性不妊に移行してしまう例もあります。こうした事態を予防するためには、手術 後の薬物治療が必要となり、最近では(2009年3月現在) 低用量ピルやプロゲスチン製剤が長期継続投与可能となったのである期間服用を推奨しています
2009年8月28日投稿分